2010年12月20日月曜日

風船唐綿(ふうせんとうわた)


  江戸末期、  ある 種苗店の 主人が、 ” 風船唐綿 ” の 独占、 

  予約 販売を  行った。

  外国より 渡来した綿 [ 唐綿 ] プラス 色鮮やかな [ 風船 ] の 

  イメージを 持つであろうことを 予想しての 名前である。

  その 口上は 「 蘭の ごとき、 美しい 白い花を 咲かせ、 やがて

  可愛い 緑の実を つける。  実が 大きくなると  弾むので、 まり、

  いや、 紙風船のように  ついて、 遊ぶことが 出来る。

  実が 熟すと  綿が でき、  枕の 中身と なる。 」

  そして 「 花言葉は ” 楽しい暮らし” だよ。」 と、 駄目押し。

  夢と実用が 相まって、 たちまち 大評判。  売れるわ、売れるわで、

  嬉しい悲鳴。   内心は いつ 夜逃げをと、 ビクビクもの。

  苗が入荷すると、 皆は 競って、 せっせと 水をやり、大事に 育てる。

  白い 星のような 花は、 花びらを 反り返し、いかにも 思わせぶりな

  風情。  やがて 1センチ大の 黄緑の 丸い珠が でき、  徐々に 

  風船のように 膨らんで、 やがて  テニスボール大の 実となる。

  あらまあ、 不思議 ・ ・ ・ 。玉の表面に、 びっしり  とげが生えた

  奇妙な 形の 袋 ではないか。  触ってみると、 とげは 痛くないし、

  どてっと しているし、 手の上で つくと、 ポンポンと 音を出し、弾む。

  ユニークと 言えば、 聞こえがいいが、  何やら  可笑しくて、

  面白くて、  笑えてくる。

  秋が 深まると、 実は  枯れて  焦げ茶色になり、 ある日 突然、

  カパッと 割れて、 中から  白い 綿毛の ついた  種子が、  

  飛び出して 来る。

  みるみる 弾けて < いっぱいの夢 > 抱いて、 空へと 飛んでいく。

  今や どこでも かしこでも、 そう、 銭湯でも  ”風船唐綿” の 話で

  持ちきりで、 「 ワッハッハ、ワッハッハ、 してやられたわい 」  と、

  笑いが 絶えないそうだ。


   ( 写真は   「 長さんの リタイア生活 」  2009.6.23  より  )

     花の 構造についての 解説サイトへの リンクも ありますので

     ぜひ、 ご覧くださいませ。

↑ は 白い綿毛のついた種子が、 飛び出す シーンです。2009.08.11
  

16 件のコメント:

  1. 風船唐綿は最初持ち込まれたときは 解説にもあるように競って買い求めたことと思いますね。
    少々風変わりで 新し物好きには応えられない面白いものだったように思います。

    年取っても新しいものに惹かれることはいい傾向といえるのではありませんか。今年も残り少ないですが、来年もチャレンジ精神を忘れないように心がけます。

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  2. shuuterさん
    ありがとうございます。
    >少々風変りで 新し物好きには応えられない面白い・
    との コメント、とっても 嬉しいです。
    好奇心は 人にとって 大事なことですね。
    まさか ブログをするなんて 思いもしなかったですし
    こうして 楽しい コメントの やり取りが 出来る
    なんて 猶更のこと。
    来年も shuuter先輩を 見習って、チャレンジ精神で
    突き進みましょう。
    よろしく お願い 致します。

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  3.  "風船唐綿"の種の標本(?) を目の前に置いて、コメントを書いています。
     何年か前、その色と形のあまりの愛らしさに、よその畑の一枝を失敬し、ドライフラワーにしようと空き瓶にさしていたら、しばらくして実の一つが割れ、びつしりの黒ゴマ様の種と真綿色に輝く綿毛が、モリモリはみ出してきて。
     飛んで逃げられてなるものかと、プラスチックケース(ファーストフード店のアイスコーヒーの透明のやつ )に収め、私の宝物の一つになっています。
     まさに綿毛が飛び立つ瞬間の、自慢の一品。皆様にお見せできないのが残念です。
     綿毛は、毛足が3cm位あり、ふーわり ふーわり飛んでいる姿は、夢のようです。

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  4. 44番教室さん
    あなたから、 >まさに 綿毛が飛び立つ 瞬間の
    自慢の一品・・ の 宝物の お話を 伺った時に、
    ”風船唐綿 ”の話を 書いて みたくなりました。
    幸い、 前のお宅の 庭先にあるので、 観察しながら
    遊びながらです。
    あなたの 実物を前に置いての 描写が、楽しいですね。
    >飛んで 逃げられて なるものかと・・に 大笑いです。
    今は 花屋さんで 見かけることも 多くなりました。
    あの ひょうきんな、とぼけた味が、好まれるのでしょう。 

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  5. 写真をご利用いただき。またリンクも張っていただき、ありがとうございました。
    江戸時代にやってきたとしたら、こんな光景が見られたかもしれませんね。
    風船の中から綿毛が飛び出す前は、種が整然と並んでいて、これも面白いものです。↓で取り上げたことがあるので、ご覧ください。
    http://kobacho-niwaijiri.at.webry.info/200908/article_15.html

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  6. 「長さんの画像をお借りした」とありました。過去に長さんのブログで見た記憶が有りませんでしたので遡って2009年6月23日を確認した処、私はまだこの世に長さんの存在を知りませんでした。ブログってなんて面白いのでしょうか?発信も受信も面白くて止めることが出来ません。これも縁を取り持つたかようじさんのお陰です。

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  7. ますます筆が冴えて、楽しい風船唐綿ストーリーですね。
    わたしもあの不思議な花姿と、陽差に輝く美しい綿毛の種子が大好きです。
    まさにいっぱいの夢抱いた感じ・・。

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  8. 長さん
    他の方のブログ拝見し始めたのが、7月半ばより。
    7月22日の ”風船唐綿”の 記憶が あったので、
    サイト内検索で 2009.06.23 の記事に行き着いた
    のです。その後の 2009.08.11も 楽しい記事ですね。
    >種の先に 毛が 生えているのが、綿状に広がり、
    風と共に 運ばれていく・・画像も 面白いです。 
    お陰さまで より深い ものになり、 感謝致します。

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  9. 信徳さん
    >ブログって なんて 面白いのでしょうか・・・
    全く 同感です。 半年前までは この楽しみを
    知らなかったのです。 こうして 自分の思いを
    記事にしたり、 画像で 発信し、それを 温かく
    受け止めて コメント 投稿して下さる 皆様に
    感謝 しています。 
    単に 発信するだけでは ブログは 完成せず、
    コメントのやり取りを含めて 一つの記事となる。
    と言うのが 私の 持論なのです。(私の場合)
    今後とも よろしくお願い いたします。

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  10. ひとえさん
    ”風船唐綿”に 魅かれたのは あのユーモラスな 実 
    ですが、 もう一つは 素晴らしい 花言葉です。
    全体は [ 楽しい 生活 ] 花は [ 隠された能力 ]
    実は [ いっぱいの夢 ] なんと 素敵なことでしょう。
    これほどのラインナップは そうそうお目にかかれません。
    他に ありましたら、 ぜひ 教えてくださいね。
    お願い しておきます。(笑)

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  11. こんにちは。
    フウセントウワタの花からは想像も出来ない風船が膨らむと同時に、暮れのこの時期に来年に向け素敵なブログ記事になりましたね。
    私も袋を破って何処かに飛んで行きたいものです。
    来年も益々飛躍される事を期待しています。

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  12. ”風船唐綿”の綿毛、繊細で美しい 凄い!! 
    種苗店の主人 大儲けし 綿毛の種子ように
    しなやかに 何処かとんで行っただろうか??

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  13. kako狸さん
    年末が 押し迫ると、気分が 落ち着きませんね。
    特に 主婦としては、今までのつけの 清算のような
    気がして。(笑)
    kakoさんの おっしゃる通り、 一人で 自由に 
    フワフワと 飛んで、 どこかへ 遊びに 行きたく
    なります。
    ブログを初めて 半年余り、 何となく 自分の 
    方向性が 見えてきた 気がします。 
    ただ、いつものことながら 何を 書こうかな???
    ですので、 飛躍は ちょっと 難しいですが、
    頑張ります。 どうぞ よろしく お願いいたします。 

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  14. ぶらり爺さん
    もし 私が 種苗店の 主人だったら、”ひょっとして
    偏向たれが、「金、返せ!」と 押し寄せたら、大変。
    大金を 懐に すたこら 江戸より 大阪へ 遁走!
    そこで 遊びまくって スッテンテン。 流れ 流れて
    九州は長崎の町へ。ここで もう一旗あげて 大儲け ”
    と、夢見て >綿毛の種子のように しなやかに・
    飛んで行ったのでは ないでしょうか?(笑) 

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  15. ひぇーッ また一杯食わされちゃった!
    南アフリカ原産の風船唐綿が、江戸時代から有ったのかと、カラの頭をひねっていた私をご想像ください。

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  16. 44番教室さん
    そうなんですよ。 本当に、江戸末期に 渡来した
    植物なのです。
    お話といえど、 一応は 歴史など 検証済みですの。
    日本には 鑑賞用として 入ってきたらしいですよ。
    南アフリカの 原産地では、 果実の綿毛を 枕や
    クッションの 中身として 使われているのも 事実
    なのです。(笑)

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