2010年10月31日日曜日

秋の野芥子(あきののげし)


                    (  写真は くじゅう連山に 咲く花 より  )

    秋の野や 道端で   すくっと ひときわ高く、  大型で、  目立つ花。

    春に咲く ノゲシに 似ていて   秋に咲くので  ”  秋の野芥子  ” 

    ハルノノゲシは  葉が  茎を抱き、  花の色は  濃い黄色である。

    アキノノゲシは  葉は 茎を抱くことはなく、  花の色は  淡黄色。

    大陸からの 帰化植物らしい。  どうも 邪魔者扱いの 花だ。


    花は 昼間咲き、 夕方には 萎むが、 曇りや雨に日には 開かない

    偏 向 者。

    茎は 太いが、 柔らかく、  風などで倒れても   なかなか折れない

    強 情 者。

    茎は 直立し、  上部で  枝分かれ する。

    そして 茎の先に  円錐状に  頭花を  多数 つける。

    淡黄色の 花びらに  黄色の しべが、 優しい色合いで  美しい。

    ちょっと 寂しげで    儚げに見える   花。

    花ことばも そのまま 「 控えめな人 」 と  なぜか 「 幸せな 旅 」。


    でも 私には ” 子宝に 恵まれた 幸せな女性 ” に みえる。 

    赤ん坊を 背におぶい、 一人の幼な子の 手をひき、 お兄ちゃんは 

    その前になり 、後になりながら、 歩いている ・ ・ ・ イメージだ。

    もう とうの昔に 忘れられた  情景、  おかあさんの ねんねこ姿。

    あの 幸せな  ひとときを   想う。

     

2010年10月27日水曜日

犬酸漿(いぬほおずき)


                   ( 写真は くじゅう連山に咲く花 より )


    金木犀の木の下に うずくまるように  雑草が 生えていた。

    気がつくと 、白い 小さな 花が 咲いている。

    あまりに 可愛いので  調べてみると  ” イヌホオズキ ”

    茄子科  ナス属。   別名  バカナス。  ヤマホオズキ。

    ホオズキや ナスに 似ているが、 役に立たないとの 名前だ。


    茎の途中から 枝を出し、  白い花を 4~5個 つけている。

    一つの花の先が 五つに裂け 、黄色い葯を持つ おしべが

    真ん中に  ピョコンと   飛び出ている。

    花びらは  ヒヨドリジョウゴのように  反りかえって  咲く。

    花は 1センチ弱と  非常に 小さいが、  威勢がよい。

    今にも 飛び立とうと  羽を反らせている、  小鳥のようだ。

    ” マメヒヨドリ ” なんて  勝手に命名したくなる   愛らしさ。

    うつむき加減に咲いているし、 何しろ 小さいので  目立たず、

    虫も  人も  のぞきこんで  くれないらしい。 


    金木犀の 芳しい香りが 漂う 玄関先で、  かがみこんで

    「 おはよう、元気? 」 と ”イヌホオズキ ”に 声をかけ 愛でる

    これが  私の  日課。

    今朝 よく見ると、  かわいい 緑の 玉を ぶら下げていたよ。


    

2010年10月22日金曜日

貴船菊 (きふねぎく)


   ある年の10月23日、 勇壮な炎が 夜空を焦がす 「 鞍馬の火祭 」 の

   翌日 早朝、  叡山電車で  鞍馬へ 向かう。

   色づき始めた 紅葉の 樹々の間を、 電車が ゆっくり 走り抜けていく。

   鞍馬の町は 祭りの熱気を まだとどめ 、煙のにおいが 立ちこめる。

   消火用の ホースから  水が ほとばしって  道路を 洗い流す。

   家々は みな 開き放たれ、 軽いざわめきが あちこちに ある。

   提灯を持ち、 裃姿の 世話役らしき方が、  挨拶に 廻られている。

   華やぎの余韻が  たっぷりで、  こちらまで 嬉しい気分。

   狭い ゆるやかな 坂道を  ぶらぶら 歩いていく。

   お目当ては 山奥の  鞍馬温泉、 露天風呂。

   北山の 山並に 囲まれて  静かで  のんびり 、いい湯だ。

   それから 由岐神社に戻り、 鞍馬の山を越えて 貴船まで 歩く。

   ロープウェイを 横目に、  朱塗りの 本殿金堂に  参拝し、

   ゴツゴツの 木の根道を下り、 うっそうと 生い茂った  樹々の中を

   大杉権現~ 奥の院魔王殿~ 貴船神社 へと  低山ハイク。

   貴船神社は ひっそりとしていて  寂しい 雰囲気だったが、

   可愛い 貴船菊の 本家本元の お出迎えに、 口もとが ほころぶ。

   可憐な 八重の  紅の花。  気品ある 一重の  白い花。

   正式名は ” 秋明菊  ”   キンポウゲ科   アネモネ属。

   別名  ” ジャパニーズ・アネモネ ”  

   数の少ないのが 気になったが、 花の時期は 終わりかもしれない。

   貴船神社の 「 丑の刻 参り 」  「 五寸釘 」 の 話は 、山越えで 

   すっかり 冷え込んだ体には ブルブルもので お参りもそこそこに 退散。

   急いで 料理屋さんへ駆け込み、懐石料理と 熱燗の日本酒を 注文する。

   ほんわりと湯気の立つ 酒を 口に含むと、 冷え切った体に しみわたる。

   ほどよい疲れも 相まって、  酔いがまわる 心地だ。

   ああ、  極楽、  極楽 なり。


    ( 写真は 信徳さん 「想いのままに・・・」 より  2010.9.25 )

           http://51608230.at.webry.info/

2010年10月18日月曜日

続 藤袴  「 アサギマダラ 」


    「 藤袴 」 で ”アサギマダラ ”に 関心と言うか 興味をもたれた方に

    耳よりの情報、いや グッド・タイミング の記事を ご紹介いたします。


    saganosanyasou さんの  「 気まぐれ日記 」

          2010年10月15日  「アサギマダラ」 の南帰行!!


        http://saganosanyaso.at.webry.info/


    9月2日、 福島県裏磐梯のスキー場から 10月14日 京都市内へ

    到着の 標識付きの ”アサギマダラ” の 素敵な 画像と 記事を

    お楽しみ くださいませ。

       10月11日  「 藤袴の蜜に 誘われて 」

       10月18日  「 自宅に ”アサギマダラ”が・・・・ 」 の 記事も

    合わせて ご覧下さいませ。


        ( 写真は ひとえさん 「おもひぐさ」 2010.10.16より )

          

2010年10月15日金曜日

藤袴(ふじばかま)


   ” 藤 袴 ”   秋の七草の 一種として 高らかに 詠った後は

   この 地味な花を  忘れていた。

   あの [ 旅する蝶 ]  アサギマダラ が 好むと 知るまでは。


   ” 藤 袴 ”   キク科  ヒヨドリバナ属

   淡紅紫色の 筒状の花弁が 袴に 似ていたことが 、名の由来。

   秋の七草のうち  唯一の  帰化植物だ。

   もともとは 中国生まれで 奈良時代に 渡来し 野生化したらしい。

   葉が 香ることから ” 蘭 草 ” の 異称あり。

   花に 香りなく, 草を 乾燥させると、清々しい ラベンダーにも似た

   芳香を 放つ。 昔から 香り袋や 入浴剤として 愛用されたようだ。

   さしずめ 今の ポプリだろう。


   初秋になると 人の丈ほど スルスルと伸び、淡い 藤色の小さな

   花が集まった 頭上花を咲かせる。 

   アサギマダラ が 好む 密には 毒性の強い アルカロイドが 

   含まれている。 蝶は これを 取り込むことで 毒化し、 敵から

   身を守ると される。

   自然界の 営みは、 人の想像を はるかに超越した  叡知に

   満ちている。


   アサギマダラ  は  誰もが 一目で  魅了される 美しい

   浅黄(あさぎ)色の 翅を 広げ、 羽ばたくことなく、フワリ フワリと

   楽しげに  浮遊する。  まさに  [ 動く 宝石 ] 

   時には 1500㎞もの 長距離飛行をする 能力は 溜息混じりの 

   感動を  われわれに 与える。


   アサギマダラ は  [ 優雅な 旅する 蝶 ]  なのだ! 


   ” 藤 袴 ” は  優しく  品よく  淡い藤色の花を  そよそよと

   揺らしながら  秋の野に  佇んでいる。

   アサギマダラ の 訪れを 一刻千秋の 想いで 待ちながら・・・・・・・


   ( 写真は  信徳さん 「想いのままに・・・」より  2010.09.25 )

     青色藤袴    http://51608230.at.webry.info/

    


2010年10月10日日曜日

紫苑(しおん)


                  ( 写真は  庵主さま  2007.10.07 )

    薄紫の  楚々たる  しかも  可憐なる  花。

    平安時代には この花由来の ” 紫苑色 ” が 生まれた。

    紫は 高貴な色とされ、 大宮人は 外出着として 好み、

    女官たちは 競って  秋の装いに 用いたとか。


    紫苑の一群れは 女官たちの さざめきにも似た 華やかな 世界。

    やがて 笛の音に 合わせ、鼓が 打たれる・ ・ ・雅な 管弦の宴。


    だが 私の耳には、 「 慈しみ深き 友なる イエスは ~ ~ 」 と

    讃美歌 312番の 旋律が 流れてくる。

    その昔、重苦しい 高校時代から 一転、自由闊達な ミッション系の

    短大に 進学。  あまりの 違いに 戸惑いながらも 

    シオン山教会( シオンとは エルサレムの市街の丘の名。 転じて

    キリスト教の 聖地 ) で、礼拝し、聖書、讃美歌・・・・・と 異文化に 

    触れ、宝塚では ないけれど [ 清く、正しく、美しく ] を モットーの

    校風に  のびのびと 楽しい 青春時代を  送った。

    人生における 大事な友との 出会いもあった。

    前途に 多難あり とは 露思わず、 光輝く道が 用意されていると

    信じ、 幸せいっぱい、  夢いっぱい の  二年間。


    ” 紫苑 ” は  私の 青春   そのもの。



    ( 紫苑に 関して 詳しくは 庵主さま 青谷だより 2010・10・08 ) 

         思い草  http://kittyom.at.webry.info   へ どうぞ

   




2010年10月5日火曜日

稲穂


                     ( 写真は maechan  提供 )  

   赤い稲穂が そよそよと 揺れる。 これは 秋を告げる  風物詩。

   「 赤米 」    遠く  弥生の時代に  大陸からの 伝来で 

   祭祀の 際の  お供え物 だったとか。

   この美しい 赤い稲穂が  秋の 爽やかな風に はためくさまを

   初めて見た時、 言葉にならない もどかしさで 胸の奥が ざわついた。


   40年前、 門司より  山陰本線 寝台特急での  のんびり旅。

   早朝 目が覚め  窓の外を見やると、 あたり一面 黄金に輝く稲穂。

   神話の里  出雲平野が  朝日に照らされ、 荘厳な 光景。

   「 大国主命 」 が 、稲穂の間から  ヒョッコリ  顔を出しても

   何の 違和感もない  不思議な空間。  時間が 止まってしまった。


   そして  南紀 紀和町の  丸山千枚田。

   一望千枚は  名実ともに  日本一の 棚田。

   小さな田が  幾重にも重なり、 1300枚くらいは あるという。

   夕陽に輝く 稲穂の  あまりの素晴らしさに  唖然とする。

   言い知れぬ 感動が  胸の奥から 突き上げてくる。

   青緑色、 黄金色、 黄土色 ・・・・・まるで パッチワークの じゅうたん。

   一枚 一枚 、 色と 形は 違っても 、  整然とした 美しさ。


   さわさわさわ  と   実りの秋が  やってくる。