2011年2月28日月曜日

ムスカリ


                        ( 柿八年 さん より )

  ゆり科  ムスカリ属    原産地  地中海沿岸から 西南アジア

  ムスカリの名前は ギリシャ語の ジャコウ(Moschos)に 由来する。

  原種に ムスクの 香りを思わせる 芳香を持つ 種が ある。

  英名は ” グレープ・ヒヤシンス ”。  青紫色の 鈴蘭の ような

  花が ブドウのように 密集して、 花  開くことによる。


  早春、  すらりとした 美しい 緑の 葉の  間から、 ヒョッコリ、

  ツクシンボの ような  つぼみが  顔を出す。

  つぼみは  グングン 大きくなり、 やがて  下部の ほうから

  釣鐘形の  瑠璃色の 花を  咲かせる。

  青紫の  濃淡の、 バルーンのような  スカートの  裾は、

  白い 縁飾りが あり、  フリルの ように   翻っている。 

  スカートの中を のぞいてみると、 白い シベが ちらりと 見えた。

  私は、 花が 半分ほど 咲いた くらいの ツンツン坊主の 時が、

  一番  可愛くって、  大好き。 

  ムスカリが 群生している様は、 わんぱく坊主が 頭を寄せ合って

  ヒソヒソ 、ガヤガヤ、 なにやら  悪だくみを  しているようで、

  これまた  愛らしい。

  そういえば オランダの、 広い、広い  キューケンホフ公園で 

  色鮮やかな チューリップと  競うように、 色や 形の  異なる

  ムスカリ坊主たちが、 それぞれの仲間の 応援  受けながら、

  頭を 突き出して、 一生懸命   駆けっこ していたよ。

  風が さやさやと 吹きわたっていて 気持ち よかったなあ。

  

  

  

2011年2月22日火曜日

椿・カメリア


                          ( Maechan より  )

椿に 関して 二つの 心弾む 記事を 見つけたので ご紹介したい。


まず一つ目は 家庭画報 二月号より( 岸川慎一郎氏の記事を含む)

<日本の 藪椿を 母として 多彩な美と 華やかさを競う 椿

    ・ ・ ・ ・ 300年で 世界一周> の 見出しより 始まる。

  「 椿の仲間は 日本を 北限としており、 その椿が 初めて

   ヨーロッパに 渡ったのは  18世紀 初頭。

   西洋の人が 初めて 椿を 見た時の 驚きは 想像に 難くない。

   冬枯れの季節に 常緑の 艶やかな葉と バラのような 華麗な花。

   熱狂的な ブームを呼び、 長く 危険な 船旅、 つまりは 命を

   かけて 東洋まで  椿を ハンティング したという 逸話が ある。

   アメリカには 独立直後の 1797年に  赤の 一重の 藪椿

   が、 渡っている。

   英国から ヨーロッパ諸国へ 広まった椿は ”Camelia(カメリア)”

   と  名を変え、 社交界に 持て囃された ・ ・ ・」


はるか 昔の こととはいえ、 心踊る 話では ないだろうか。

「カメリア」は 17世紀の チェコスロバキアの 宣教師 Kamell牧師の

名に因む。 椿は カメル牧師が 18世紀に 東洋から ヨーロッパに

もたらしたことで、 広まったとされる。

19世紀 椿姫(アレクサンドル・デュマ)の小説では 主人公の好きな

花 として 登場、 後に ヴェルディが この 小説を オペラとした。


二つ目は  朝日新聞に掲載の 長崎五島市の 岩永氏の投稿文より。

  「 日本列島の 太平洋沿岸に ヤブツバキの 分布が 顕著なのは

   黒潮に 五島ヤブツバキが 運ばれたのではないか? と 考え、

   実験のため 16年前から タマノウラツバキの 種子と 手紙を

   瓶に入れ、五島沖から 流している。 今まで 奄美大島の 東と

   西で、 昨年は  甑島の 大内浦で 発見された。

   潮の流れは 黒潮のように 列島に沿って  遡上するものと

   ばかり 思っていた ・ ・ ・ 」


この ロマン溢れる 岩永氏の 想いが 素敵で、 応援したくなる。

   

    

2011年2月16日水曜日

水仙


                      (  写真は 「Maechan」  より  ) 

  ヒガンバナ科    スイセン属

  地中海沿岸より シルクロードを ギリシャ神話(美青年ナルキッソスに 

  由来するとされ、 自己愛 自己陶酔の ナルシシズムの 語源とも

  なっている) と ともに 旅してきた スイセンは、 日本へは 平安末期

  中国より、 修行僧が 持ち帰った 説と、 中国南部から 球根が

  暖流に乗り、 日本沿岸に 漂着した 説が ある。

  気品ある 佇まいの 美しい花で、 早春の 代表的な花の 一つだ。

  雪の中でも 咲くことから ” 雪中花 ” とも 呼ばれる スイセンは 

  漢名の ” 水仙 ” より  名付く。

  真っ白な 花びらに 黄色の 杯形の カップが  目立って 可愛い。

  イタリア語で ”小さいコーヒー茶碗 ” は この イメージだろう。

  中国では この様子を ” 金盞 ・ 銀台 ” と なぞらえる。

  


  日本では うぬぼれ屋とは 真逆の、 清楚で 控えめな 美しさの

  印象で  捉えられている。

  日本海の寒風に たじろぐことなく、しっかりと 根を張って 凛とした

  花を 咲かせる  強さを  持ち、 スラリと 伸びた 茎や 葉は 

  体のみならず、心まで 素直のようであり、 やや うつむいた 姿は

  思慮深さ、 謙虚さを  想わせ・ ・ ・ と、謎めいた 風情がある。

  その上、 どんな 調香師にも 真似 出来ない、 繊細で 上品な

  芳香を 放つ。



  水仙は  日本人の 美意識に 不思議に マッチする 花 であり、

              演歌が  似合う  花 なのだ。

 

2011年2月10日木曜日

大犬の陰嚢(おおいぬのふぐり)


一度 聞いたら、 忘れられない  ” 大犬の ふぐり ”

明治時代に ヨーロッパより 帰化した、 4枚の 大きな 花びらを

持つ、  コバルトブルー の  美しい 花。

エキゾチックで 可憐な 容姿に 人のみならず、 虫や 蝶も うっとり。

その上、 早起きで お日様の当たる時間は いつも 微笑んでいるし

自立しているので、 誰にも 愛嬌よく もてなし、 人気 急上昇。

「 瑠璃唐草 」 「 星の瞳 」 「 天人唐草 」 と チャーミングな 名で

呼ばれ、 本人も  ご満悦。

当然  日本古来の 青紫色の 美しい花々は 面白くない。

そこで 額を集めて 協議し、 一致団結。

「 天人唐草 」 を いじめの 対象とし、  鵜の目 鷹の目、 何か

ミスが あらばと  手ぐすね引いて  待ち構えていた。

やがて  花の季節が 終わると、 天人唐草には  毛深い 玉を

2個 つけた  実が、  ぶら下がっていた。

これを 見つけた  いじめっこ達は  大喜び。

早速  ” 大犬のふぐり  ” と  名付けて  はやしたてた。

この珍妙な 名は  あっという間に  全国へ  広まった。

天人唐草は たいそう 嘆き悲しんだが、これも 神の思し召しと 納得

< バーズ・アイ > と 呼ばれる 大きな瞳を 見開き、 空を 見上げ

来る日も 来る日も  一日限りの 花を 美しく 咲かせ続けた。


そして現在、 野の花は あまたあるが、その中で ”大犬のふぐり” は

その ユニークな名 ゆえに 一層  人々から 愛されることとなった。

あの  いじめっこ達は  「 今、 いずこ? 」


     ( 写真は 「 植物園に ようこそ 」 より )

2011年2月3日木曜日

藪椿(やぶつばき)


                             ( 植物園へ ようこそ より )

  「 戸 上 山 (とのうえさん)」 北九州市門司区の 標高 518mの 山。
  地元の 皆に 愛されている 山だ。
  冬の とある日、 青空に 誘われて 思い立ち、 戸上山 低山ハイク。
  自然林の なだらかな 山道を、 鳥の さえずりを 聞きながら  歩く。
  道は よく 整備されており、  林を 吹きわたる風も  今日は
  冷たさを 感じさせず、 心地よい。
  40分も 歩くと、 足立連山への 分岐点を 通り過ぎ、 すぐに 
  大台ヶ原に 着く。  この 広々とした 草原の、 なんと 素敵なことか。
  展望が 開け、 眼下に 関門海峡を 望み、  巌流島が 浮かぶ。
  遠く、 周坊灘、  響灘、 ・ ・ ・   見飽きることがない。
  急な岩場を 歩くこと、10分、  樹林帯に  たどりつく。
  さあ、 ここから お待ちかね、 ” 藪 椿 ” の アーチの お出迎えだ。 
  木漏れ日に 輝く  椿の 美しいこと。
  つやつやした  緑の葉、  真っ赤な 花びらに   黄色の 花芯。
  楚々として いながらも、  情熱的な  花。
  後、 ひと月もすると  花の盛りを 迎え、  この道は  椿の 絨毯が
  敷き詰められる。
  枯れ葉を サック、 サクッ  と 踏みしめ、 薄暗い 樹林帯を 20分
  ほど 歩くと、  ほどなく   頂上に  到着。
  頂上は  クマザサを 下葉に、  老杉などの  巨木に  おおわれ、
  戸上神社の 上宮が  鎮座していて、  厳かな 雰囲気だ。
  手前の 広場では、  弁当を 広げたり、  寝転んだり、  キラキラと
  輝く  海を  眺めたり、  皆が  思い 思いに  寛いでいる。
  四季折々、 いつ 登っても、  心  癒される  「 戸 上 山 」。
  この山は  私の  山。
  この山の 花は  ” 藪 椿 ”