2011年1月27日木曜日

スノードロップ


 ” スノードロップ ”   ヒガンバナ科  ガランサス属  南欧 原産

 早春、  しずくのような 形の  白いつぼみを  吊り下げて、 咲く。

 日中は  3枚の 白い 花弁が  開いて、 緑色の 斑の 入った 

 花弁が   顔を出し、  夜になると  花を  閉じる。

 英国では  「 二月の 美しい少女 」  とも 呼ばれているそうで、

 ” ドロップ ” は、 16~17世紀の ヨーロッパの 女性が つけた

 耳飾りのことで、 この花が 耳飾りに 似ていることに  由来する。

 別名   ” 雪 の 花 ”   ” 待 雪 草 ”  ” 雪 の 雫 ”



 画集で フェルメールの 「 真珠の 耳飾りの 少女 」 を  初めて

 見た時、  すぐに  ” スノードロップ ” を  思った。

 それからは  花を 見る度に、 少女を 想い、  いつか 本物の

 絵に  出会いたいと   願っていた。

 その願いが 叶ったのは、 2008年 4月、 オランダ ベルギーの

 旅  での こと。

 「 真珠の 耳飾りの 少女 」 は、 オランダ ハーグ の 優美な

 マウリッツハイス美術館に  飾られており、 気品あふれる オーラを

 放っていた。

 初々しい  恥じらいを 秘めた   大きな  瞳。

 あどけないが、  意志の強い  情熱的な  瞳。

 真珠の 耳飾りが   柔らかな 光に  反射して  輝いている。

 絵の前に 立つと、 静寂と  安らぎの 不思議な 感覚を 覚える。

 どのくらいの 時間、  うっとりと 見つめていたのだろうか。

 我に返ると、 他の見学者は 去り、 「美しい少女」 を  独り占め

 していた。 

 これぞ  まさに,   [ 至 福 の 時 ]

 

2011年1月22日土曜日

満作(まんさく)


      1月15日  歌会始の儀    皇后さまの  御歌

          おほかたの   枯れ葉は   枝に   残りつつ

               今日   まんさくの花   ひとつ咲く


  満作の 大きな 茶色の葉は  「 静 」 の 造形美。

  花は  「 動 」 の 魅力の  持ち主。

  茶色の がくの 中に、 4枚の 黄色の リボンが きちんと 折り畳まれ

  [ ウィッチ・ヘイゼル ] の  魔法の 杖のもと、 1枚づつ、 スル~リと

  飛び出して くる。  また  スル~リ、 また  スル~リと。

  最初は 素直な 細長リボンの花びらが、 そのうち カールを 効かせ

  クルクルと  よじれてきて、  踊り出す。

  笛、太鼓、鉦の にぎやかなお囃子に あわせて、 田の神への 祝い歌

  ” 今年も  豊年,  万作だ~  ” と、 はしゃいで  踊りに 興じる。

  黄金色に輝く  満作の花の、 華麗なる ダンスショーの  始まりだ。



      ” 満 作 ”    マンサク科   マンサク属 

      早春,  最初に 花をつける。

      「満作」 の 字を あてるが、 東北地方の ”まんず咲く” からと

      あるのが、 理にかなう。

      中部地方では  「ネソ」。  「 練り麻」の 意で、 粘りがあり

      強靭な 樹皮が  結束に 向く。

      五箇山や  白川郷の  合掌造りの  梁を  締める。

      囲炉裏の すすで  虫が つかず、 数十年間、  屋根を支える。

                              ( 花 おりおり  より )


  補足: ウィッチ・ヘーゼルは ディズニーの短編 「ドナルドの魔法使い」に

       登場する 魔女の 名。


          ( 写真は   maechan  より  )

            http://maechan.at.webry.info

            

     


  


 

 


  

   

2011年1月17日月曜日

冬青 (そよご)




   白い花は 清楚で 美しいし、 冬の 赤い実も 素敵!  などと


   褒められるけれど、 皆と 横並びじゃ、  つまらないわ。


   私のことを  知りたい!  逢いたい!  と 思わせるためには


   まずは  ネーミングが 大切。


   そこで 私は 名前を  ” 冬 青 ” と 書いて、 ” そよご ” と 


   読ませるように したの。


   風の便りにでも  ” そよご ” と いう  響きを  聴くと、 


   「 澄みきった 青空を バックに、 爽やかな 風に  長い髪を


   なびかせている  美しい乙女 」 を 想って、ゾクゾクするでしょう。


   実際は、 葉っぱが 風にそよいで 音を立てているので ふと


   思いついたのよ。


   次に 出会った時の 印象が、 ロマンチックで なければ、 駄目。


   赤い実を 輝かせながら、 ふっくらした 深緑の葉の ベッドに


   そっと  寄りかかっているの。


   王子様が  迎えに 来てくれるのを 待って いるかのように


   頼りなげに、 物憂い  表情で ・ ・ ・ 。


   そんな シーンを  演出 したのだけれど、 どうかしら?


   お気に召して  いただけたかしら? 






   私は  生まれながらの  詩人。


   ブランコのように、 ユラユラ 揺れながら、 いろいろ 夢 見るの。 




    ( 写真は  季節の花 300 より ) 


            http://www.hana300.com/index.html

2011年1月9日日曜日

不断桜

           ( 2010.12.27  柿八年 さん 提供)


年の瀬も 押し詰まった 26日、 陸上競技をする 高校生にとって


憧れの舞台の 京都都大路、” 全国高校駅伝 ” を、応援、 見物


にと、 妹と二人、 京都に  赴いた。


キーンと冷たい 澄んだ 空気の中、 だるまのように 着膨れして臨む。


鞍馬口で 女子駅伝を 応援後は、 国際会議場の 折り返し地点に


陣取り、 声を嗄らしての 応援。  拍手する手は  赤く染まる。


気合いの入った 応援で、 身体は  ポカポカ、 喉は  カラカラ。


お陰で(?) 女子は 北九州市立(福岡代表)が 5位 入賞。 万歳!


男子は 鹿児島実業優勝、熊本の九州学院が 3位と 九州勢、大健闘!


興奮 冷めやらぬまま、 三千院前の 宿へと 向かう。


この時期は 人も少なく、 静かで、 そこはかとない 風情のある 大原。


里では 満開の 「律」 と 「呂」 の 二本の 不断桜が、出迎えてくれた。


小さな 淡紅色の 花が、 優しく、 微笑んでいる。


ひと休憩後、 「 声 明 」の 来迎院へ  お参りし、  音無しの滝まで


呂川沿いに、 可愛い 椿を  眺めながら、  散策する。


宿に戻り、 冷え切った体を  温泉で  ほっこりと  温め、 美味しい


酒と  懐石料理を、 いただく。


昂ぶった気分で 駅伝談議に  花が 咲き、  夜が 更ける。


翌朝は  美しい 額縁庭園で 有名な 大好きな  宝泉院を 訪れる。


つくばいの水が 凍りつき、 つららが 垂れ下がった ところへ、


椿が 一輪、 なにげに 置かれた  光景に、 感動する。


勝林院の 「阿弥陀如来」の、 五色の網に 触れ、厳かな気持ちになる。


実行院で お抹茶を 戴きながら、 青空に 美しく 映える  不断桜を


愛でた 後は、 ビロードのような  杉苔の、 華やかな、 心浮き立つ


三千院に 参拝する。


そして 小春日和の中、  草生の里  寂光院へと、 ひっそりした、


のどかな 道を、 ぽくぽく  歩く。   久しぶりの 道だ。


再興なった寂光院本堂に ぬかずきながら、 往時を偲んで 感慨深い。


ゆっくり、 のんびり、  初冬の京都   味わい旅と  なった。




2011年1月4日火曜日

藪柑子(やぶこうじ)


あけまして おめでとうございます。

   正月の縁起物の ひとつに、 万両、 千両、 百両(カラタチバナ)

   十両(ヤブコウジ)、 一両(アリドオシ) が  ある。

   ” 藪 柑 子 ”  ヤブコウジ科 ヤブコウジ属   別名  十両

   背が 低く、 実の数も 少ないが、 あの愛らしい 宝石のような

   赤い実は、  実に 魅力的だ。

   小林一茶の 句、 「 めでたさも 中くらいなり おらが春 」

   では ないけれど  ささやかな 幸せに  満ちている。

   だが、 調べてみると  意外性に富み、 面白い。

   

   万葉集には ” 山 橘 ” として  五首  読まれている。

   江戸時代より 園芸植物として 大いに もて囃され、

   斑入り種や、 変わり葉が 大人気。

   お金を生む 木で  ” 金 生 樹 ”  と、 呼ばれていた。

   明治年間も 大流行があり、  投機の 対象として

   [ 一鉢 が 家一軒 ]   もの  値がついた こともある。

   また、 落語 「 寿限無 」 では 「 藪柑子という植物は 昔から

   百両金を 表す 印 として、 たいそう おめでたいとされている」

   「 やぶらこうじのぶらこうじ  パイポパイポ・・・ 」 と 登場する。

   冬でも枯れない 緑の葉と 美しい赤い実は、 古来より 重宝され

   正月 初卯(はつう)の日に、 ウツギの枝を ヒカゲノカズラで巻き

   ヤブコウジを挿す 行事は、上賀茂神社の 卯杖の神事に 残る。

    ( 参考: < ウィキペディア > < Yafoo! 百科事典> ) 


いかがですか。

   藪柑子の 美しい実に これだけの 過去が つまっているのですよ。

   嬉しく なりますね。

   今年も  面白い話など 沢山 見付けて、 皆で  楽しみましょう。

   ” 藪 柑 子”  の 花言葉 [ ふくよかな愛 ] [ 明日 幸福 ] を

   贈って、  新年の ご挨拶  と 致します。