2010年9月30日木曜日

紫紺野牡丹


   あでやかで 鮮やかな 五弁の 紫の花。

   誰をも 一目で 魅了する花  ” 紫紺野牡丹 ”

   紫紺・・・  まさに 日本の 伝統色の ひといろ。

   だが この花には、 和の色から にじみ出る 古風な趣が 感じられない。

   どちらかというと  ディープ・ロイヤル・パープル や パンジー  などの

   ビビッド・トーンの  あっけらかんとした 紫 だ。

   それもそのはず 原産地は ブラジル。

   ビロードのような 手触りの葉は、 産毛でおおわれ、 じつに 毛深い。

   紫の雄しべは 蜘蛛の脚のようで ”ブラジリアン・スパイダー・フラワー”の

   異名あり。

   ( 詳しくは 庵主さま 「 青谷だより 」 2010年9月26日の記事をどうぞ )

                    http://kittyom.at.webry.info/


   牡丹の花に 似ていないのに なぜ ” 野牡丹 ”と 名付けられたのだろう?


   [ 牡丹 ]  は  唐の時代より 中国では  [ 花の王 ]  と 称され、

   その華麗さで 他の花を圧倒し、 まさに 高根の花  である。

   それに ひきかえ ” 野牡丹 ” の なんと  愛らしく、  庶民的なことか。

   他の花のなかにあっては、目立って 派手で 人目を惹く。 が、 しかし

   仲間内では 陰影というか 濃淡少なく、 個性的美しさを 競うと いう

   点において やや 欠ける。 そのかわり 粒ぞろいの 美女軍団である。

   やや うつむき加減の しとやかな風情は 「私 何にも 知りませんの」

   と、純真無垢な 乙女の 色気を 感じさせる。

   だが、 皆が カメラを構えて 花の中を 覗きこもうとすると、その顔に似ず

   どすのきいた声で  「 あまり ジロジロ みるんじゃないよ 」 と、 一喝!

   の 強さも しっかり 持っているのだ。

   そのくせ、 これほど美しい花なのに 一日花 とは 惜しいと思う こちらの

   気持ちを 汲んでいるかのように、毎日 次々と 新しい花を 咲かせてくれる

   律義というか  優しさがある。

   花は 単純ながら 性格は 複雑。  ゆえに 余計に チャーミングだ。

   

   ” 紫紺野牡丹 ” と 名付けた方は 異国情緒 たっぷりでありながら

   日本的な美しさ、可憐さを 合わせ持つ この花を [ 日本の花 ] として

   末永く 愛してほしい との 願いを 込めたのだろう。

    

   

                  


   

2010年9月26日日曜日

杜鵑草(ほととぎす)




    秋風が ゆっくりと 吹いてきたら  、私の出番。


    ぷっくり、ぷっくり  つぼみを 広げて 花を咲かせるのよ。




    日本で 育った友は  ” ほととぎす ”  と言うの。


    花の 斑点が  鳥のホトトギスの 胸の斑と  似ているから。


    渋い色合いの 上品な趣が  [  侘び・寂びの世界 ]  に


    ピッタリで、 秋の茶花としても  一級品。


    だから あの子は 少々  気取り屋さん。




    イギリス生まれの  私の名は  ” ひき蛙 ”


    花の こぶが、 蛙の背に 似ているからですって。


    そう?  そう見える?


    イギリス人て  皮肉屋で、 ジョーク大好き。


    名付け親としては  ひとひねりした 名のほうが 面白いと


    思ったんだろうね。


    おかげで 私は  愛嬌があって  おしゃべりなの。




    あ~あ  私も 日本で 生まれたかったなあ。


    交換留学生の システム、 ないのかな。


       

    


    

2010年9月21日火曜日

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)


   秋の彼岸、墓参り。あぜ道に 真っ赤な” 彼岸花 ”が 一列に並んでいる。

   この花を見ると あのジリジリと 背中を焦がす 残暑が ワンセットで

   思い出される。 そんな情景に ピッタリの 句。

           草川の  そよりともせぬ  曼珠沙華

                                 飯田 蛇笏


   ” 曼珠沙華 ”は [法華経] に現れる 天上四華のうちの 曼珠沙華(赤色) 

   摩訶曼珠沙華 (大赤花) に 由来する。

   曼陀羅華 (朝鮮朝顔) とともに 仏教信仰での  天上の花。

   韓国では  ” 相思草 (サンシチヨ) ”

   花が 咲くときは 葉がなく、  葉が生まれるときは 花はない。

   花は  葉を想い、  葉は 花を想う・・・・・・・の意。

                     (和歌森太郎著  「花と日本人」より 抜粋)


   ” 曼珠沙華 ”

   豪華 絢爛たる その姿。  独特の 造形美。  気位高き 高慢な花。

   その妖艶な 眼差しで こちらを一瞬見たか、と思うと すぐに 踵を返し

   天女の舞にも似た その美しい花姿を  天空めざし  突き上げる。

   この奔放な 振る舞いに 為すすべも無く、 ただ  見惚れるのみ。


   花ことば    「 情熱 」    羨ましい。

            「 想うは  あなた一人 」    ああ、怖い。


    ( 写真は くじゅう連山に咲く花 より )



   


                    

2010年9月17日金曜日

薄(すすき)


    秋は 夕陽が いいですね。

    山の端に 力なく沈む 陽を浴びて、かすかな 黄みを帯びた

    空気が 漂っている。

    斜光を受けて 稲穂が 金色に輝き、ススキが 銀色にそよぐ。

    水引草の 赤い実が 楚々として 可愛い。


    「 旅の 宿 」         作詞   岡本 おさみ

                      作曲   吉田 拓郎

          浴衣のきみは 尾花(すすき)の かんざし

          熱燗徳利の 首つかんで もういっぱい

          いかがなんて みょうに 色っぽいね~


    この曲を聴くと あたり一面 秋の気配が 立ちこめる。

    でも しだいに 落ち着かなくなる。

    「薄のかんざし?」   ススキは 堅くて 手で千切れない。

    縁も 鋭く、 肌を傷つける 恐れも あるぞ。

    第一 「熱燗徳利」  なら、もう初冬だろう。 その頃のススキは

    太くて 重い。 無理、 無理。 きっと カヤツリクサを 編んで 

    髪に 挿したんだ。単に語呂がいいので ススキにしたんだよ。

    待てよ、「浴衣」 ってことは 夏? いや どこかの 温泉宿か。

    などなど 野次馬根性 丸出しで、 折角の 爽やかな 秋の

    情景が ぶちこわし。

   

2010年9月15日水曜日

ブログ ご紹介

    当ブログに コメント投稿くださる 「 ひとえさん 」 を
    ご紹介します。

    繊細な 感覚と 優しく 鋭い 観察眼の
                素敵で 不思議な 世界です。
             どうぞ 体験なさって くださいませ。

      ひとえさん  < おもひぐさ >
            http://setunairo.at.webry.info/

2010年9月12日日曜日

撫子 (なでしこ)


   ねえねえ  聞いてちょうだいな。

   あたいが 野原の真ん中で 大の字になって 寝ていても

   みんな チラッと 横目で 見るだけだったんだ。

   それが [ 野の花 ] ブームとやらで 町へ連れてこられてしまった。

   きれいなおべべ 着せられて 、お澄まし顔さ。

   「万葉集に 撫でたくなるほど可愛い花と 詠まれていましたよね。」

   「そうそう、枕草子で 清少納言が 褒めていましたね。」

   なあ~んてね。 笑っちゃうよ。

   あたいが どのくらい お転婆で根性ものか、誰も知らないんだから。

   それにもう こんな窮屈なところは ごめんだね。

   あ~あ 早く 帰りたい。 仲間が首を長~くして待っているんだ。

   モリモリ食べて  ドンドン太って  可愛げがなくなったら、

   お払い箱に してくれるかな?

   それとも  ドンドン痩せて  みすぼらしくなるのが、 いいかな? 

   あんたが 見張り役してくれるなら、 いっそ逃げようか?

   あたい 足には  自信あるんだ。

   ねえねえ  どうしたら  いい?
         写真は 「くじゅう連山に 咲く花」 かわらなでしこ
             

2010年9月10日金曜日

続 大待宵草


   この” 大待宵草 ”  幻想的で  仄かな色気を 感じますね。

   画像は  庵主さまブログ  「青谷 だより」 2007年6月3日

   ( 昼咲き月見草 ) より お借りしたものです。


   先日の 「大待宵草」 のコメント欄の

   ” 利尻岳には  月見草が よく似合う ”に 興味津津、

   すぐに 庵主さまの処へ 飛んで 行きました。

   たかが [ たかようじ]  手も足も でませんでした。  

   されど  [ たかようじ] (自画自賛)。 独り占めするほど 料簡

   狭くないので、 皆さまにも 見て戴きたいと 思いました。

   幸いにも 庵主さまに 快諾を得ましたので、リンクさせて頂きます。

   2007年度、庵主さまは 実に 精力的に 記事を更新なさって

   いらっしゃいます。

   その素敵な お洒落な画像と文章を ご覧くださいませ。


   私同様 機械オンチのAさん、今回は 詳しく 説明するので 

   不時着することなく、無事に 目的地に 着陸 してくださいね。 

 
     ① この URLを クリックする。

       「 青谷 だより 」 の ブログが 表示される。

     ② その画面の 一番下に 

         続きを見る 

            2009年10月 2009年11月 2009年12月

            ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・

             この中の どの月でも いいから クリックする

     ③ 画面が 切り替わって  左サイド カレンダー の下の

          月別 リンク の 2007年6月 を クリック

     ④ 6月3日 を クリック

                           以上です。大丈夫ですね?


  

   最後に 一つ 大きな 心配ごとが あるのです。

   それは 庵主さまの ブログを 訪問して そのまま 居続けて

   帰って こないのではと・・・。

   どうか 皆さま くれぐれも 「 のうのう日記 」を お忘れなくね。

2010年9月6日月曜日

大待宵草(おおまつよいぐさ)


   太陽が 沈み そこはかとなく 涼しい風が 吹く 夕暮れ時。

   その宵を待って 花ひらき 翌朝 ひっそりと萎む 黄色の花。

   不思議な 体内時計を持つ 魅惑的な花。


   太宰 治 は 「富嶽百景」で、”富士には 月見草が よく似合う”と

   書いたが、その月見草は [オオマツヨイグサ]  と言われる。

   ”待てど 暮らせど 来ぬ人を 宵待草の やるせなさ・・・・・・・・・”と

   詠った 竹下 夢二。    

   両者とも 夢二の絵のように 、儚げで 美しい女(ひと)を 想う。


   今から 37,8年前 私は 門司の 大里に 住んでいた。

   その当時、門司には 九州鉄道の本社があり、 大里の町には 国鉄の

   官舎が 立ち並んでいた。まさに 国鉄のお膝元だった。

   鹿児島本線、下関への山陽本線 の上下線、貨車・・・・・・と 頻繁に

   列車が 往来していた。

   夏の長い黄昏時、ヨチヨチ歩きの 息子の お気に入りの散歩は

   鉄道線路の 金網越しに、 行き来する 列車を 眺めることだった。

   線路わきには 黄色の重たげな 花をつけた 大待宵草が、夕陽を

   浴びながら、華やぎの時を 今か、今かと 待ちわびていた。

   門司駅 近くなので、汽車の動きは 緩慢だ 。時折 運転手が

   常連の見物客に 気前よく ポッポーと 汽笛を 鳴らす。

   息子は それが嬉しくてたまらず、その汽車に向って 「ポッポ、ポッポ!」と

   手を振りながら、私を 振り返る。 その弾けるような プチプチ笑顔。


   私の [ オオマツヨイグサ ]  は 幼い息子の 笑顔だ。

   それにしても 私は あの時、美しく咲いた 大待宵草を 見たのだろうか。

                           (写真は くじゅう連山に咲く花 より)

2010年9月3日金曜日

時計草


                          (写真は maechan 提供) 

   「さあ みんな、目を閉じて。 はるか昔の  インカ帝国の 青~い、

   青~い チチカカ湖 を 想ってくれたまえ。」


   ”スペインが インカの地を征服する1533年、インカ帝国の

   莫大な財宝は 王族の手で チチカカ湖に 深く深く 沈められた。

   鍵は 不思議な魔力を秘めた あの花 とのみ・・・・・。

   この謎解きが出来たのは ただ一人 、パラグアイの 賢人。

   「花は 時計の文字盤に見える。そうだ、3つに分裂した雄しべが

   時計の 長針、短針、秒針 だ! では 羅針盤だと どうなる?」

   財宝は 湖の底より 密やかに 引き上げられ、 パラグアイへ。

   その花は 功を称えられて ”時計草” と名付けられ、国花となる”

   (以上 たかようじ作。 以下は ウィキペディア フリー百科事典)


   ”時計草” トケイソウ科トケイソウ属  ペルー、ブラジル原産

   英名 passion flower は [ キリスト受難の花 ] の意味。

   イエズス会の宣教師達は アッシジ聖フランチェスコが 夢に見た

   「十字架の花」 を信じ、キリスト教の布教に 利用した。彼らは

   花の子房桂は 十字架。(中央で) 3つに分裂した雄しべが 釘。

   (棒状の鮮やかな)副冠は 茨の冠。 5枚の花弁とがく(花弁に

   見える)は 合わせて10人の使徒。 巻髭は(追責者の) ムチ。

   葉は 槍 であるとした。   { ( )は 補足 }

   

   どうだ、魔法の力を封じ込めた 実に神秘的な 花ではないか。

   では 現代での不思議を、 またまた お目にかけるとしよう。

   「 想いのままに・・・・・・・・(群馬発) 信徳 」

       9月2日の記事 「トケイソウ、この不思議のものに・・・」

       http://51608230.at.webry.info/

   ここを クリックして ???な世界へ どうぞ!

   ( コメント欄も ぜひ ご覧ください。楽しい話が 一杯です)

2010年9月1日水曜日

ブログご紹介

    当ブログに コメント投稿 くださる 「 ぶらり爺さん 」を
        ご紹介します。
            ぶらり爺 さん   < ぶらり 日記 >
         
http://burarinikki.at.webry.info/

             ぜひ クリックして お訪ねください。
             気持玉も つけてくださると 尚 嬉しいです。

酔芙蓉(すいふよう)


   高橋 治 著  「 風の 盆恋歌 」

   この本は 究極の [  夢幻 ]  の 恋物語。

   その象徴としての ” 酔芙蓉 ”


   花は 朝のうちは 白く、昼下がりより 酔い始めたかのように

   色がつき、夕暮れには すっかり 紅 と なる。

   酔った挙句に 散る、 一日限りの 命花。


   舞台は 坂の町、水の町 富山 八尾町。

   九月一日から 三日間の ” 風の盆 ”

   独特な音色の 胡弓が加わり、越中おわら節を のびやかに

   歌い 舞う  祭り。

   男女とも 編笠で 顔を隠し、しめやかに、密やかに 舞う。


   長い間 憧れていた” 風の盆 “ 見物ができたのは 二年前。

   八尾など 知りもしないのに 懐かしさと 期待で 胸が弾む。

   まずは 野外演舞場で おわらを見物後、ぼんぼりの 光の町へ。

   町なかの 輪踊りを 駆け巡って、見物する。

   お宮の境内での 男女二人の 洗練された 墨絵 のような舞を

   下から 見上げ、次は 急こう配の 石段に座り、はるか下の

   輪踊りを 眺める。

   すっかり 胡弓の音色に 魅了され 、静かで 雅な 踊りに 

   酔いしれた、今も 忘れられない 一夜と なった。