2011年3月28日月曜日

花簪(はなかんざし)


  キク科   ハナカンザシ属    オーストラリア原産

  別名 ”ペーパー・ディジー””ヘリクリスム・スプリフォリウム”

  「 えっ、 花かんざし? 」 と 言いたくなる  紅紫色の

  小さな、 小さな、  愛らしい つぼみ。

  これが だんだん 膨らんで、 白いつぼみとなり、 やがて

  仄かな 紅色を  一部 まとっての  真っ白な  ふっくらと

  した  美しい つぼみとなる。

  そして  白いつぼみの 外側から  むけるように、 ひらり、 

  ひらりと  花びらが  一枚ずつ  広がっていく。

  花の 真ん中には  なにやら  黄色が 見え隠れしている。

  完全に 開ききるまでの  なんと  待ち遠しいことか。

  純白の 花びらは  まるで 紙のように  薄くて  軽い。

  触ると  カサコソ  音が する。

  和紙のように 水に濡れても 大丈夫! と いうのではなく

  表面が ツルツルの  光沢のある  洋紙、  そうだ、

  [ コ ー ト 紙 ] の イメージだ。

  花が 開くと、 中心には 黄金の冠を 戴いており、 甘い

  香りが 漂ってきた。 これで ” 花 簪 ” の 出来あがり。

  この花は  清楚で、  可憐で、  初々しい。 

  美しい乙女の  恥じらいのような 花。

  ” 冬の 妖精 ”  なんて  素敵な 呼び方も  あるとか。


  舞妓さんの  花かんざし、 三月は <菜の花> <水仙>

  こちらも  花に  負けず劣らず、  可愛いね。


(写真は 「想いのままに・・・(群馬発) 信徳より」 2011.01.21 )


              

        



2011年3月20日日曜日

菜の花


        菜の花畑に     入り日薄れ
        見わたす山の端   霞ふかし
        春風そよ吹く     空を見れば
        夕月かかりて    匂い淡し

  春の彼岸に  父は  37歳の若さで  逝ってしまった。
  病との 戦いを 終え、 静かな  穏やかな  旅立ちだった。
  野辺の送りの 情景は、この唱歌 「 朧月夜 」 そのままだった。
  その日から  ” 菜 の 花 ” は  ” 悲しみの 花 ” 


          「 風 景 」      (  銀色もざいく )

  ①  いちめんのなのはな     ②  いちめんのなのはな
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな
      かすかなるむぎぶえ         ひばりのおしゃべり
      いちめんのなのはな         いちめんのなのはな

  山村暮鳥の この詩に 出会ったのは いつだっただろうか。
  朗読しているうちに 胸一杯に 黄色の菜の花が 押し寄せてきた。
  春の訪れの  喜びに 満ち溢れた 黄色の花の  洪水だ。
  それは 輝く 黄金色となり、  私を  満たした。

  今、  ” 菜 の 花 ” は  ” 喜びの 花 ” 

           ( 写真は  maechan  より )

  

2011年3月7日月曜日

ミモザ


マメ科 フサアカシア、ギンヨウアカシアの 俗称。オーストラリア原産

イギリスで、 南フランスから 輸入される フサアカシアの 切り花を

” mimosa ”  と  呼んだ ことからと される。

小さな 5mmほどの 黄色の 花が、 まるで 毛糸の ボンボンの

ように、 丸くなって 咲き、 芳香を 放つ。

フワフワした 黄金色の 花は 「 春の 訪れ 」 の 浮き浮きした

気分を  醸し出す。



ある年の 3月8日、 私は ミラノの街で  震えあがっていた。

早春と いうのに  底冷えが して、  ゾクゾクと  寒い。

それでも  厚着をして、  街の 探訪に  出かけていた。

その日  街の あちこちに、 ミモザの花の 屋台が  出没し、

黄色の 可愛い ブーケが ブリキの バケツに 入れられていた。

それを 客が  嬉々として  買い求めていく。

一体 何事? と 尋ねると 「 3月8日は イタリアでは 女性の日

”フェスタ・デラ・ドンナ ”と 呼ばれ、 男性が 日頃の感謝をこめて

妻や 恋人だけではなく、 職場の 女性たちにも ” ミモザ ”の花を

贈る 習慣があり、 子供も 大好きな ママに プレゼントする 」

との話だった。

贈られた 女性は 誇らしげに 胸や 髪に 飾って 闊歩している。

私も 負けじと  半強制的に  ミモザの ブーケを 手に入れ、

ドーモから モンテ・ナポレオーネの 繁華街を、 寒さもどこへやら

練り歩いた。 また その日一日は 女性は 地下鉄料金 無料で

あった。  忘れられぬ  楽しい  思い出だ。



フランス プロバンス地方では 2月 中旬、 春到来を 祝って

「 ボルム・レ・ ミモザ 」 と いう 伝統的な ミモザ祭りが

催される。  ミモザの 花や、 蜂蜜を 売る  屋台が 並ぶ中、 

ミモザの花で  飾られた 山車や、 子供たちの パレードが

行われ、  町は  ミモザ 一色と  なるそうだ。


” ミモザ ” は   ” 愛と 幸福を 呼ぶ花 ” で ある。


        ( 写真は 季節の花 300 より )