2010年11月19日金曜日

吾亦紅(われもこう)


   ” 吾も  また  紅(あか)  なりと  ひそやかに ”

                              高浜 虚子


   ” われもこう ”  なんて  詩的で  素敵な   ネーミングだろうか。

   野を渡る風に  ゆらゆら  揺れる  吾亦紅が  目に浮かぶ。

   ワインレッドの  花に  トンボが  止まっている。

   風が吹く度に  飛び立っては また 舞い戻る  この光景 ・ ・ ・

   花野の中で  一番  秋の 風情を 感じさせる  花だ。


   この魅力的な フレーズ ” われも また あかなりと ” に 出会ったのは

   忘れもしない 25年前、 深い 深い 闇の中で、 もがき 苦しんでいた時。

   ” われも また ・ ・ ・  ” と  何度  唱えたことだろう。

   ある時、 その闇から スポッと  抜け出せた、  いや、 飛び出せた。

   そして  いつも通り、   前を向いて  走り出せたのだ。


   あれから 25年、  還暦を すでに過ぎ、  体形は 重力の 法則で

   下~へ  下~へ  と  下がっていく。  目も  歯も  耳も   悪い。 

   髪は バラバラ、 まつ毛は パラパラ。  シワは  言わずもがな。

   ああ、 容貌は  日増しに  いや、  時増しに  衰える。

   「 整形するなら、シワは 寄るだけ 寄せてからが、 いいらしいわよ 」 と

   無責任に 宣う 友に 耳も貸さず、  背筋を 伸ばし (背が 縮んだ)

   あごを 上げ (下げると たるみが 目立つ)、 無駄に 思える  努力を

   重ねる 日々である。


   でも一生 ” 吾も また 紅 ” を 心の奥底に 秘めて 生きていきたい

     

   

   

16 件のコメント:

  1. 何かきみまろさんの漫談に出てくるフレーズが並んでいますね、なんて冗談はさておいて、とても赤とは言えなくなったような吾亦紅が細い茎の上で秋の風に揺らぐ風景、良いですよね。先日の海野宿でもそんな光景に出会いましたよ。

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  2. 長さん
    秋らしく、少々 寂しい 切ない、情感たっぷりの 
    記事を 書くつもりが、どんどん いつもの 自分が
    前面に出て、 お笑系に なってしまいました。
    これでは すぎもとまさと さんの ”吾亦紅 ”の
    歌を 思い浮かべて 戴くには、 ちょっと 無理が 
    ありますね。 残念です。(笑)

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  3. 吾亦紅も歌がヒットして一段と人気が出て来たように思います。私も吾亦紅など草花の存在すら知りませんでしたが歌を聞いてからその姿を見て初めて知った花オンチです。トンボが良く停まりそうな花ですね。地味でもキット逞しく生きていける花なんでしょう。

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  4. 吾亦紅
    ちょっと寂しいイメージに
    なっていますか。
    秋風が吹く中に揺られて
    たたずんでいますね。

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  5. 信徳さん
    >地味でも きっと 逞しく生きていける 花・・・
    おっしゃる通りです。 花は 普通、 下から 上に 
    咲き上がるのに、 吾亦紅の花の集まった 穂は
    下へ 咲き下る、 へそ曲がりの 花 らしいですよ。
    昆虫を呼び寄せ、花粉を 運んでもらうために 赤紫に
    がくを 染めたりと 努力もしています。
    トンボは 邪魔、 ハナバチに 来てほしいと 思っている
    はずです。

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  6. kenさん
    バラ科とは 縁遠い 地味な 花なのに、 なぜか 
    この花は 日本人の心に 響く、気品ある 花です。
    侘び、寂の 世界の 茶の湯の 茶花 として
    人気が 高いのも 頷けます。
    活けてある 吾亦紅を 眺めれば、秋の 草原の
    爽やかな 風を 感じることが できますから。

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  7. 重力のある世界は厳しいものですね。
    人の季節にふさわしい紅」がそ~とにじみ
    でている人。
    季節に合った美しき花なのでしょうね。

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  8. ワレモコウなる名前は野草を追い求める前は知りませんでした。
    歌の題名を知ると同時に野草を追い求めることなり 知りました。でもこのワインレッド色素敵な色です。
    ”我もまた紅なり”とあかく燃える情熱は失いたくないですね。
    気持ちだけは若くありたいです。

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  9. ぶらり爺さん
    ”吾亦紅”の 赤は 渋いけれど、深みのある
    奥行きのある 赤 です。
    >人の季節に ふさわしい紅・・・
    おっしゃるように 年を 重ねるごとに その年に
    相応しい 彩りを  加えていきたいものです。

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  10. shuuterさん
    吾亦紅 信濃の 夕日 透きとほる 
              ( 藤田 湘子 )
    空気が 澄みわたり、 夕日までも 透き通っている
    このような、秋の日、あかあかとした夕日と 吾亦紅。
    静かな中にも 深い 情熱を 感じます。
    いつまでも >気持ちだけは 若くありたい・・
    同感 です。

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  11. 吾もまた紅、それぞれに紅・・ですね。
    それぞれに抱くくれないの色はみんな違うのかもしれませんね。

    >でも一生 ” 吾も また 紅 ” を 心の奥底に 秘めて 生きていきたい。

    同感です。
    人目を引く紅でなくとも。

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  12. ひとえさん
    女性ですから、ルージュ、マニュキア、洋服と
    紅の 外的な 装いは 出来ます。
    でも 心の紅の 持続は、たいそう難しいこと。
    >それぞれに抱くくれないの色は・・・ 
    多分 みな 違うけれど、その想いを 大切にして
    いきたいですね。  

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  13. こんばんは!
    「われもこう」素敵な名称ですね、家の植木鉢の中にも小さな「吾亦紅」が恥ずかしそうに赤くなっています。
    追伸、
    文書が下手なんで滅多にコメントいれてませんが、いつも、たかようじさんのブログ拝見して勉強させていただいてます。今後ともよろしくお願いいたします。

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  14. こんにちは。
    『吾も また 紅 なりと ひそやかに』虚子の句はすんなりと心に沁み込む好きな一句です。
    吾亦紅は日本人好みの野草ですね。
    それぞれ人によって紅ばかりでなく、色は違えど各々のカラーを持っている様に思います。
    そのカラーに寄り添いながら生きていっているのでは無いでしょうか。
    それは意識しなくとも・・・
    年を重ねると特にその様に思えます。
    はてさて私のカラーは・・・???

    『吾亦紅 目を細めても 夕陽燃え』桜井 博道 
    やはり吾亦紅には色が付いて回る様ですね。

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  15. ちーぼうさん
    夢のある 写真を撮る方に ほめられて 嬉しいです。
    おまけに 若い男性ですもの。(笑)
    息子は ”いいんじゃない。”と さりげない
    コメントのみですから。

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  16. kako狸さん
    25年前、 大病を 患った時、 身体も 心も
    なかなか 癒えず、 辛い経験を しました。
    その時 ”自分の 紅”って 何かしらと 思い
    悩みました。
    今や 自分の カラーを 前面に 打ち出して
    突進中 です。

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