キンポウゲ科 トリカブト属 日本・中国・朝鮮半島 原産
名の由来は 雅楽の奏者が 錦製の鳳凰をかたどった冠をつけていて
それが ”鳥 兜”と よばれており、この花の形が 似ていることより。
英国では ”ヘルメット・フラワー”と 呼ぶ。
この花の 複雑な形は マルハナバチに 花粉を運んでもらうための
手の込んだ 装置 とか。
「 不美人な女性を 俗に ”ブ ス” と いうが、ブスの語源となった
植物こそが、 美しい トリカブトである。
ブスとは ”附 子” と 書き、 トリカブトの 塊根のことである。
トリカブトは 猛毒を持ち、 誤って 口にすると、 神経系の機能が
麻痺して 無表情になる。
この表情から ”ブ ス” と 言われるようになった。」
( 稲垣栄洋著 「 残しておきたい ふるさとの野草 」 より )
今から 18年前の話。 北アルプスに 初挑戦、 白馬岳だ。
大雪渓を これまた 初めての 軽アイゼンを ガシッ、ガシッ と
いわせての雪渓歩き。 おっかなびっくりの足元だが、心はルンルン。
涼風を 心地よく 身体に 感じ、 雪渓を 登りつめると
そこは お花畑が 一面に広がる 葱平 (ねぶかっぴら)。
色とりどりの 美しくも 愛らしい 花々が、 優しく 風と 戯れ
短い夏を 謳歌していた。
その中で 不思議な魅力を 放っている 青紫色の 個性的な花
それが “ ミヤマトリカブト ”。
この花による 殺人事件が 記憶に 新しい時期だったので、
ゾクゾクしながら 見入ってしまった。
” トリカブト ” の花は こちらの思惑など どこ吹く風かと 澄まし顔
妖艶な 美しさを 漂わせ、 私を とりこにした。