アオイ科 アルテア属
トルコ原産種と 東ヨーロッパ原産種の 雑種とされる。
人類が 利用した 最古の花の 一つ。
イラク北部で 6万年前の ネアンデルタール人が 死者に
手向けた 花が 出土した。
おそらく インド、ミャンマーから 「 山のシルクロード 」を
経て 中国・四川省に 伝播。
唐代以前は [ 牡丹 ]が 台頭するまでは [ 蜀葵(しょくき)]
の 名前で 一番の 名花と された。
日本へは 平安時代の 唐葵から 江戸時代に 立葵に。
( 湯浅浩史 「花おりおり」より 抜粋 )
2007年 トルコへの旅。
紀元前2世紀 ローマ時代の古代都市ヒエロポリスの遺跡。
その下に 広がる 高さ100mに及ぶ 階段状の 石灰棚。
石灰質を含んだ温泉水が 何千年もの 長い年月をかけて
創り上げた 純白の 棚田、 <バムッカレ>
ローマ帝国の温泉保養地であり トルコ語で <綿の宮殿>
を 意味する。
純白の石灰棚が 夕日に照らされ、ブルーのグラデーション
へと 刻一刻 変化し、 たとえようのない 神秘的な美しさ。
この 魅惑的な景観に 圧倒され、 静かな 祈りにも 似た
沈黙の世界が 広がる。
ヒエロポリスの野には 色とりどりの花が 咲き乱れていた。
白、 薄紫色、 紫、 淡紅色、 紅色 ・ ・ ・ ・ ・
目を惹いたのは すらりとした、” タチアオイ ” の花。
日本でみるより やや小ぶりだが、 優美な 淡紅色の花。
立ち去りがたい想いの私に ” 立 葵 ”は 悠久たる時を
ふわりと 包み込み、柔らかな 微笑を 投げかけてくれた。
幻想的な 光景と 気品漂う 花を 今も 思い出す。
爽やかな 風と ともに。