
キク科 ミヤマヨメナ属 日本 原産
” 都 忘れ ” は 小さい花ながら 凛として 気品あふれる花。
江戸時代より 茶花、 庭の下草として栽培され、切り花に向く。
紫、 薄紫、 白、 薄紅 ・ ・ ・ どの色の花も 素敵。
この花を見るたび 一昨年亡くなられた 作家 庄野潤三氏の
本の 一節を 思い出す。
”みやこわすれは咲き出すと いつまでも 次から次へと咲いて
くれる。 この花を分けてくださった 歯医者の 植木老先生の
「みやこわすれが咲き出すと 仏さまのお花を 切らさない」 と
いわれたのを 思い出す。 ありがたい花だ。”
そうなのです。 見かけは愛らしいが なかなか 強い信念と
体力を 持っているのです。
切り花にしてもずいぶんと長い間 その美しさを維持してくれる
花 なのです。
「貝がらと海の音」 にはじまり、「ピアノの音」 「庭のつるばら」
「鳥の水浴び」 「山田さんの鈴虫」 「うさぎのミミリー」 ・ ・
夫婦の晩年を主題に 花や鳥、 旬を飾る食べ物、 巡りいく
季節など、 静かな喜びで 満ちあふれた日々を 淡々と
綴った 随筆集、 いや 一連の 小説。
ここには 少しずつ 少しずつ 時間が たって 小さな変化が
あって でも変わらない世界が ある。
庄野氏の本を読むと いつもしみじみ 温かい心で満たされる。
”みやこわすれ” は どの本にも 同じような台詞で 登場する
常連さんで (ほかには 浜木綿、すみだの花火、ブルームーン
など) 私には なじみの花である。
”みやこわすれ” は 私の心を おだやかにしてくれる花だ。